シールドケーブルはどう使う?ノイズを抑えるための接地と配線のポイント
電子機器や制御盤では、モーターやインバータ、スイッチング電源などから発生するノイズが信号線へ回り込み、誤動作や通信エラーの原因になることがあります。こうしたノイズの影響を抑える方法の一つが、シールドケーブルの使用です。
シールドケーブルは、信号線の周囲を導電性のある材料で覆い、外部から入り込む電磁ノイズや、内部から外へ出るノイズを抑える役割があります。
ただし、シールドケーブルを使えば必ずノイズが減るとは限りません。接地方法や配線経路が適切でないと、十分な効果を得られないことがあります。
この記事では、シールドケーブルの役割と、ノイズを抑えるための接地・配線のポイントを解説します。
シールドケーブルは外部ノイズの影響を抑えるために使う
シールドケーブルは、信号線や電源線の周囲を金属編組や金属箔などで覆ったケーブルです。
このシールド層によって、外部からの電界や電磁波の影響を受けにくくしたり、ケーブル内部から発生するノイズが外へ放射されるのを抑えたりします。
特に、センサ信号やアナログ信号、通信線など、ノイズの影響を受けやすい配線で利用されます。
また、モーターやインバータにつながるケーブルでは、ケーブル自体からノイズが放射されるのを抑える目的で使われることもあります。
どのノイズを抑えたいのかによって、必要なシールド構造や接地方法は変わります。
シールドは適切に接地して使う
シールドケーブルの効果を得るには、シールド層を適切に接地することが重要です。
シールドがどこにも接続されていない状態では、ノイズ電流を十分に逃がせず、期待した効果が得られないことがあります。
一方で、接地すればどこでもよいわけではありません。
シールド層に流れたノイズ電流が、影響を受けやすい回路のグラウンドへ入り込むと、かえってノイズ問題を起こす可能性があります。
そのため、シールド電流をどこへ流すのかを考え、シャーシグラウンドや筐体などへ短い経路で接続することが基本になります。
片側接地と両側接地は用途によって使い分ける
シールドケーブルでは、「片側だけ接地する方法」と「両側を接地する方法」があります。
低周波のアナログ信号などでは、両端の機器間に電位差があると、シールドへ電流が流れてグラウンドループができることがあります。
そのため、片側だけを接地して低周波のループ電流を防ぐ方法が使われることがあります。
一方、高周波ノイズを抑えたい場合は、シールドの両端を接地したほうが効果的なケースがあります。
高周波では、長い接地線自体がインダクタンスを持ち、シールド性能が低下しやすいためです。
どちらが正しいと一律に決めるのではなく、対象となる周波数や機器間の電位差、接地構成を確認して判断します。
高周波では接地線を短くする
シールドケーブルを接地するときに注意したいのが、接地線の長さです。
シールドからグラウンドまで細く長い線で接続すると、その線が高周波ではインダクタとして働き、ノイズ電流を流しにくくなることがあります。
そのため、高周波ノイズ対策では、シールドをできるだけ広い面積で筐体やコネクタへ接続する方法が有効です。
たとえば、シールドをコネクタ周囲で360度接続することで、短く低インピーダンスな経路をつくりやすくなります。
「接地しているか」だけでなく、「どのような経路で接地しているか」まで確認することが重要です。
ノイズ源と信号線を離して配線する
シールドケーブルを使っていても、ノイズ源のすぐそばを長い距離にわたって配線すると、影響を完全には防げない場合があります。
モーター線やインバータ出力線、大電流が流れる電源線などは、センサ線や通信線からできるだけ離して配線します。
特に、ノイズ源となるケーブルと信号ケーブルを平行に長く走らせると、電磁結合が強くなる可能性があります。
どうしても交差させる必要がある場合は、できるだけ交差する区間を短くします。
シールドだけに頼らず、配線経路そのものを見直すことが重要です。
シールドと信号グラウンドを混同しない
シールドは、信号を流すためのリターン線とは役割が異なります。
信号グラウンドは回路の基準電位やリターン電流の経路として使われます。一方、シールドは主に外部ノイズを遮ったり、ノイズ電流を筐体側へ逃がしたりするために使います。
両者を同じものとして扱うと、シールドに流れたノイズ電流が信号グラウンドへ流れ込み、回路へ影響することがあります。
特に高周波ノイズ対策では、シールドを基板上の信号グラウンドへ細い配線で接続するより、筐体やシャーシへ直接接続したほうが適する場合があります。
シールドケーブルだけで解決しない場合もある
ノイズ問題の原因がケーブルだけにあるとは限りません。
基板上のグラウンド設計やフィルタ、コネクタ、筐体の開口部などが原因であれば、シールドケーブルを追加しても十分に改善しない場合があります。
たとえば、基板で発生したコモンモードノイズがシールド自体へ流れている場合は、その電流経路を見直す必要があります。
ノイズがどこで発生し、どこを通って伝わっているのかを切り分けたうえで、シールドケーブルが有効かを判断しましょう。
まとめ
シールドケーブルは、外部から入り込むノイズや、ケーブルから放射されるノイズを抑えるために使われます。
ただし、シールドケーブルを使うだけでは十分ではなく、接地方法や配線経路が重要です。
片側接地と両側接地は、対象となる周波数や機器間の電位差によって使い分けます。高周波ノイズでは、接地線を短くし、できるだけ低インピーダンスで筐体やシャーシへ接続することがポイントです。
また、ノイズ源となる配線から距離を取り、信号線と長く平行に配線しないことも大切です。
シールドだけに頼らず、接地・配線・グラウンド・筐体まで含めてノイズの流れる経路を確認しながら対策を進めましょう。