スイッチング電源でノイズが増えるのはなぜ?主な発生源と改善策

スイッチング電源でノイズが増えるのはなぜ?主な発生源と改善策

スイッチング電源は、小型化や高効率化に適している一方で、ノイズ対策が重要になる回路の一つです。実際に、電源をスイッチング方式へ変更したあとに、センサ値が不安定になったり、通信エラーが増えたり、EMC試験でノイズが問題になったりすることがあります。

これは、スイッチング電源がトランジスタなどを高速にオン・オフしながら電圧を変換しているためです。急激な電圧・電流の変化によって高周波成分が発生し、配線や基板を通じて周囲へ伝わります。

この記事では、スイッチング電源でノイズが発生する主な原因と、回路・基板設計でできる改善策を解説します。

スイッチング電源では急激な電圧・電流変化が発生する

スイッチング電源では、MOSFETなどのスイッチング素子を高速でオン・オフし、必要な電圧へ変換します。

このとき、電圧や電流は緩やかに変化するのではなく、短い時間で大きく変化します。そのため、高い周波数成分を含むノイズが発生しやすくなります。

特に注意したいのが、電圧変化が大きいスイッチングノードや、電流が急激に変化する経路です。

こうした場所では、配線の寄生インダクタンスや寄生容量も影響し、理想的な波形とは異なるリンギングやオーバーシュートが発生することがあります。

スイッチングノードが放射ノイズの発生源になる

スイッチング電源には、周期的に大きな電圧変化が生じるスイッチングノードがあります。

この部分の配線面積が大きいと、周囲との容量結合が増え、ノイズを放射しやすくなる場合があります。

また、スイッチングノードの近くにセンサ信号や通信線などを配置すると、ノイズが結合して信号品質を悪化させる可能性があります。

対策としては、スイッチングノードの配線を必要以上に広げず、ノイズに弱い信号線から距離を取ることが重要です。

基板上で「どこに高い電圧変化があるか」を把握し、その周囲のレイアウトを慎重に設計する必要があります。

大きな電流ループもノイズの原因になる

スイッチング電源では、短時間に大きな電流が流れる経路があります。

この電流ループが大きいと、磁界として周囲へノイズを放射しやすくなります。

特に、入力コンデンサ、スイッチング素子、ダイオードなどを通る高周波電流経路は、できるだけ短く、小さなループにまとめることが重要です。

部品同士を近くに配置し、電流の往復経路を短くすることで、不要な放射を抑えやすくなります。

回路図上では同じ接続でも、基板上の配置が異なるだけでノイズ性能が変わることがあるため注意が必要です。

リンギングやオーバーシュートも確認する

スイッチング波形にリンギングやオーバーシュートが発生すると、本来のスイッチング周波数より高い周波数成分が増えることがあります。

原因には、基板配線や部品が持つ寄生インダクタンス、寄生容量などがあります。

改善策として、RCスナバなどを使って振動を抑える方法があります。

また、MOSFETのゲート抵抗を調整し、スイッチング速度を適度に抑えることでノイズが改善する場合もあります。

ただし、スイッチングを遅くすると損失や発熱が増える可能性があるため、ノイズだけでなく電源効率や温度も確認しながら調整することが大切です。

入出力ラインから伝導ノイズが広がる

スイッチング電源で発生した高周波ノイズは、基板内だけにとどまるとは限りません。

入力電源線や出力ラインへ回り込み、ほかの回路や機器へ伝わることがあります。

特に、電源ケーブルが長い場合は、ケーブルから放射ノイズが発生する可能性もあります。

対策として、入力側や出力側へコンデンサ、インダクタ、フェライトビーズなどを配置し、高周波成分を抑える方法があります。

コモンモードノイズが問題になる場合は、コモンモードチョークを使用することもあります。

どのフィルタを使うかは、ノイズの周波数や伝わり方を確認したうえで判断しましょう。

デカップリングコンデンサは配置も重要

スイッチング電源では、デカップリングコンデンサや入力コンデンサの選定だけでなく、配置も重要です。

必要な場所から離れて配置すると、コンデンサまでの配線が長くなり、その配線のインダクタンスによって高周波ノイズを十分に抑えられないことがあります。

そのため、スイッチング素子やICの電源端子にできるだけ近づけて配置し、電流経路を短くします。

また、グラウンドへの接続も短くし、高周波電流が余計な経路を通らないようにすることがポイントです。

改善するときは発生源から順に確認する

スイッチング電源のノイズ対策では、最初からフィルタ部品を追加するだけでは十分でない場合があります。

まず、オシロスコープなどでスイッチング波形を確認し、リンギングやオーバーシュートがないかを見ます。

次に、高周波電流ループやスイッチングノードのレイアウト、コンデンサ配置、グラウンド経路を確認します。

そのうえで、必要に応じてスナバ回路やフィルタ、フェライト部品などを追加します。

発生源に近いところから順番に確認することで、対策の効果を判断しやすくなります。

まとめ

スイッチング電源では、MOSFETなどを高速でオン・オフするため、急激な電圧・電流変化による高周波ノイズが発生します。

主な発生源には、スイッチングノード、大きな高周波電流ループ、リンギングやオーバーシュートなどがあります。

対策では、部品配置を見直して電流ループを小さくする、スイッチングノードを必要以上に広げない、デカップリングコンデンサを適切に配置することが基本です。

それでもノイズが残る場合は、スナバ回路やフィルタ、フェライトビーズなどを検討します。

部品を追加する前に、どこでノイズが発生し、どの経路から広がっているのかを確認することが、効率的な改善につながります。