アナログ回路とデジタル回路のグラウンドは分けるべき?設計の考え方を解説

アナログ回路とデジタル回路のグラウンドは分けるべき?設計の考え方を解説

アナログ回路とデジタル回路が混在する基板では、「グラウンドは分けたほうがよいのか」と迷うことがあります。ノイズ対策のために分離する設計もありますが、単純にグラウンドを切り離せばよいわけではありません。

分け方によっては、リターン電流の経路が遠回りになり、かえってノイズや信号品質の悪化につながることもあります。重要なのは、アナログとデジタルの名称だけで判断するのではなく、どこに電流が流れ、どの回路がノイズの影響を受けやすいかを考えることです。

この記事では、アナログ回路とデジタル回路のグラウンドを分ける考え方や、基板設計で注意したいポイントを解説します。

アナログ回路とデジタル回路ではノイズの性質が異なる

アナログ回路は、センサからの微小な電圧や音声信号など、連続的に変化する信号を扱います。小さなノイズが重なるだけでも、測定精度や信号品質に影響することがあります。

一方、デジタル回路では、HighとLowを高速に切り替えて信号を処理します。クロックや高速スイッチングによって急激な電流変化が発生し、高周波ノイズの原因になる場合があります。

そのため、デジタル回路で発生したノイズ電流がアナログ回路のグラウンドを通ると、アナログ信号に不要な変動が重なる可能性があります。

こうした干渉を抑えることが、アナログ・デジタル混在基板におけるグラウンド設計の目的です。

グラウンドは必ず分ければよいわけではない

ノイズ対策では、「アナロググラウンドとデジタルグラウンドを完全に分離する」という考え方が使われることがあります。

しかし、高速なデジタル信号を扱う基板では、グラウンドプレーンを不用意に分割すると問題が生じる場合があります。

信号電流には、行きの経路だけでなく戻りの経路であるリターンパスが必要です。信号線の直下にあるグラウンドプレーンが途中で切れていると、リターン電流が分割部分を避けて大きく迂回することがあります。

その結果、電流ループが大きくなり、放射ノイズが増えたり、ほかの回路へ干渉したりする可能性があります。

そのため、特に高速信号では、連続したグラウンドプレーンを確保する方法が適するケースも少なくありません。

回路の配置を分けてノイズ電流を管理する

グラウンドそのものを分割しなくても、部品の配置を工夫することでアナログ回路とデジタル回路の干渉を抑えられます。

たとえば、基板上でアナログ回路とデジタル回路の領域を分け、デジタル信号線がアナログ領域を横切らないようにします。

高速クロックやスイッチング電源など、ノイズを発生しやすい回路は、センサ入力や増幅回路などノイズに弱い部分から離して配置します。

また、デジタル回路のリターン電流がアナログ回路の下を流れないように、部品と配線の位置を考えることも重要です。

つまり、「グラウンドを分ける」よりも、「異なる種類の電流をどこに流すか」を意識してレイアウトすることが基本になります。

ADCやDAC周辺ではデータシートも確認する

アナログ信号とデジタル信号の両方を扱う代表的な部品に、ADCやDACがあります。

こうしたICには、アナログ用とデジタル用のグラウンド端子が別々に設けられている場合があります。

ただし、端子が分かれているからといって、基板上のグラウンドプレーンまで必ず完全分離するとは限りません。ICメーカーが推奨する接続方法は製品によって異なります。

特定の位置でアナロググラウンドとデジタルグラウンドを接続する構成や、共通のグラウンドプレーンへ接続する構成などがあります。

ADCやDACを使用する場合は、一般的なグラウンド設計の考え方だけで判断せず、データシートやリファレンス回路を確認することが重要です。

グラウンドを分ける場合は接続位置に注意する

回路の条件によっては、アナロググラウンドとデジタルグラウンドを分ける方法が適することもあります。

その場合、どこで両者を接続するかが重要です。

複数の場所で接続すると、意図しないグラウンドループが形成され、ノイズ電流が流れる経路が複雑になる可能性があります。

一方、接続位置が不適切だと、信号のリターン電流が遠回りすることもあります。

分離する場合は、回路図上だけでなく、実際の基板上で信号とリターン電流がどの経路を通るかまで確認しましょう。

電源回路のノイズにも注意する

アナログ回路へのノイズは、グラウンドだけから入るとは限りません。

デジタル回路と電源を共有している場合、スイッチングによる電源電圧の変動がアナログ回路へ伝わることもあります。

必要に応じて電源ラインを分けたり、デカップリングコンデンサやフィルタを配置したりして、電源経由のノイズも抑えることが大切です。

グラウンド、電源、配線、部品配置をそれぞれ独立して考えるのではなく、電流が流れる一つの回路として確認する必要があります。

まとめ

アナログ回路とデジタル回路のグラウンドは、必ず分けるべきとは限りません。

グラウンドプレーンを不用意に分割すると、リターン電流が迂回し、ノイズを増やす原因になることもあります。

まずはアナログ回路とデジタル回路の配置を分け、ノイズを発生させる電流と影響を受けやすい回路が交差しないように設計することが大切です。

グラウンドを分離する場合は、接続位置やリターンパスまで考慮しましょう。ADCやDACなどを使用するときは、メーカーが示す推奨回路やレイアウトも確認しながら、回路全体に適したグラウンド設計を行うことが重要です。