モーターから発生するノイズの原因は?回路・配線でできる対策を解説
モーターを使う電子機器では、動作時にノイズが発生し、周囲の回路へ影響することがあります。センサの値が不安定になったり、マイコンが誤動作したり、通信エラーが起きたりする場合は、モーターから発生するノイズが関係しているかもしれません。
ただし、モーターのノイズは一つの原因だけで発生するわけではありません。ブラシの接点、電流の急激な変化、駆動回路のスイッチング、配線など、複数の要因が関係します。
この記事では、モーターからノイズが発生する主な原因と、回路や配線でできる対策について解説します。
モーターからノイズが発生する主な原因
モーターでは、コイルに電流を流して磁界を発生させることで回転力を生み出します。この電流が変化すると、その周囲に電磁界が発生し、ノイズの原因になることがあります。
特にブラシ付きDCモーターでは、ブラシと整流子の接触が切り替わる際に火花が発生し、高周波ノイズが生じやすくなります。
また、モーターのコイルはインダクタとしての性質を持っています。電流を急に遮断すると逆起電力が発生し、高い電圧が回路へ加わることがあります。
PWM制御でモーターの回転速度を調整している場合は、駆動電流を高速でオン・オフするため、スイッチングによるノイズも発生します。
このように、モーター本体だけでなく、駆動回路もノイズ源になる点に注意が必要です。
モーターのノイズは伝導と放射の両方で伝わる
モーターで発生したノイズは、主に伝導ノイズと放射ノイズの形で周囲へ伝わります。
伝導ノイズは、モーターの電源線やグラウンドなどを通じて別の回路へ伝わるノイズです。同じ電源をマイコンやセンサと共有している場合、モーターの電流変動によって電源電圧が不安定になることがあります。
一方、放射ノイズは、モーターや配線から電磁波として空間へ放射されるノイズです。
モーターにつながるケーブルが長い場合、その配線がアンテナのように働き、ノイズを放射したり受けたりしやすくなることがあります。
ノイズ対策では、どちらの経路で影響しているのかを確認することが大切です。
コンデンサを使って高周波ノイズを抑える
ブラシ付きDCモーターでは、モーター端子の近くにコンデンサを配置して高周波ノイズを抑える方法があります。
モーター端子間にコンデンサを接続することで、ブラシの切り替えなどによって発生する高周波成分を逃がしやすくなります。
場合によっては、各端子とモーターケースの間にもコンデンサを配置する方法があります。
ただし、コンデンサの容量が大きければよいわけではありません。容量や耐圧、モーターの動作条件を確認して選ぶ必要があります。
また、コンデンサはモーターから離れた位置ではなく、できるだけノイズ源に近い場所へ配置することが重要です。
逆起電力への対策も行う
モーターやリレーなどの誘導性負荷では、電流を遮断した際に逆起電力が発生します。
この高い電圧がトランジスタやMOSFETなどの駆動素子へ加わると、誤動作や部品の破損につながる可能性があります。
DCモーターを一方向にオン・オフする回路では、フライバックダイオードを使って逆起電力を逃がす方法があります。
一方、モーターを正転・逆転させるHブリッジ回路などでは、単純にモーター両端へダイオードを接続できないため、回路構成に応じた保護方法が必要です。
TVSダイオードやスナバ回路などを使用する場合もあります。
電源ラインからノイズが回り込むのを防ぐ
モーターとマイコン、センサなどが同じ電源を使っている場合は、電源経由のノイズにも注意が必要です。
モーターは起動時や負荷が変化したときに大きな電流を必要とします。その影響で電源電圧が一時的に低下し、ほかの回路が不安定になることがあります。
対策としては、モーター用と制御回路用の電源経路を分ける、デカップリングコンデンサを適切に配置する、必要に応じてLCフィルタやフェライトビーズを使用する方法があります。
グラウンドについても、モーターの大きな電流がセンサやマイコンの近くを流れないように経路を考えることが重要です。
配線を見直して放射ノイズを抑える
モーターのノイズ対策では、回路だけでなく配線方法も重要です。
モーターへ接続する2本の配線を離して通すと、電流ループが大きくなり、放射ノイズが増えやすくなります。
2本の線を近づけたり、ツイストペアにしたりすることでループ面積を小さくし、放射を抑えやすくなります。
また、モーター配線をセンサ線や通信線と長い距離にわたって平行に通すことは避けたほうがよいでしょう。
どうしても近くを通す必要がある場合は、距離を確保したり、交差する部分を短くしたりすることで、電磁結合を抑えやすくなります。
ノイズ対策は発生源の近くから進める
モーターによるノイズが発生した場合、影響を受けている回路だけを対策するのではなく、まずノイズの発生源に近い場所から確認することが基本です。
モーター端子でノイズを抑え、次に電源ラインや配線経路を見直し、それでも問題が残る場合に制御回路側のフィルタやシールドなどを検討します。
オシロスコープを使って電源電圧や信号波形を確認すると、モーターの起動やPWM動作とノイズが連動しているかを調べることもできます。
原因を切り分けながら対策を進めることで、不要な部品追加を避けやすくなります。
まとめ
モーターから発生するノイズには、ブラシの接点による高周波ノイズ、逆起電力、PWM制御などによるスイッチングノイズがあります。
これらは電源線を通じた伝導ノイズや、配線からの放射ノイズとしてほかの回路へ影響することがあります。
対策では、モーター端子へのコンデンサの配置、逆起電力対策、電源経路やグラウンドの見直し、ツイストペアなどによる配線改善が有効です。
まず発生源の近くでノイズを抑え、どの経路から影響しているのかを確認しながら対策を進めましょう。